2007年 09月 27日
「海坂(うなさか)藩」を訪ねる旅 その1
 前にも書いたが、今、藤沢周平がマイブームだ。いきなり火がついて、いまは音を立てて燃え上がっているブームだ。彼の作品の多くが北国の小藩を舞台にしている。北国の小藩とだけ書かれているものもあれば、「海坂藩」と名前が出てくる作品も多い。特に近年、相次いで公開された「蝉しぐれ」、「たそがれ清兵衛」、「隠し剣、鬼の爪」、「武士の一分」などの映画はいづれも「海坂藩」を舞台にした作品を原作にしている。「海坂藩」は庄内藩(現在の鶴岡市・酒田市)14万石をモデルにしている。「海坂藩」は作品中には7万石の小藩と紹介されているが、規模としてはちょうど鶴岡がそのまま想定される。
 先々週、前日に山形の大学で会議があり、その翌日は学生の面談などがあったが、9月13日はぽっかりあいたまる1日オフの日だった。その時読んでいた「藤沢周平と庄内」(山形新聞社刊)に惹かれて、このオフは鶴岡へ行こうと決めた。鶴岡は三方を山に(北は鳥海山、東は月山、南は金峰山)、そして西は日本海に囲まれた平野だ。今回は特に日本海沿いを走る国道7号線を作品にもいくつか出てくる港町を巡りながら、自転車で走るという計画にした。
 前日の12日の午後、国道112号線を鶴岡に向けて車を走らせる。途中、月山自動車道を経由して100kmほど走り続けると鶴岡市に至る。そこから国道7号線に出るとまもなく海沿いの道になる。藤沢作品にも出てくる漁港「三瀬」だ。日本海に沈む夕日にはすこしばかり間に合わなかったが、暮れていく茜にそまった海を右に望みながら、新潟方面へ走る。まもなく、温海に着く。ここで山側へ折れてあつみ温泉へ。温泉街のはずれに地域の人々が共同管理する公衆浴場「正面湯」がある。
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灯りのついたサインがあるわけでもなく、この前を2度も車で通り過ぎたが気がつかず、最後は饅頭屋のおじさんに聞いてようやくたどり着いた。入浴料はわずかに200円。家族風呂を少々大きくしたような小さな浴場だが、こんこんとわき出すお湯はPH7.5の塩化ナトリュウム泉で、少々熱めのお湯がいい。入ってくるのはほとんど地元の人のようでおじいさんに連れられて来た子供がすばやく裸になると
「こんばんは。お先に」と浴室へ入っていく。ちゃんと躾のできている町なんだと思う。
 「正面湯」を出て湯冷ましに温海川沿いを歩く。途中に「足湯」がある。赤い照明に照らされて湯気をあげた足湯が気持ちよさそうだ。
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その後、再び7号線へ出て鼠ガ先の手前にある道の駅「温海しゃりん」に着く。隣にあるコンビニでビールとつまみを買って、車内で藤沢周平の「たそがれ清兵衛」を読みながら飲む。開けた窓から磯に砕ける波の音がかすかに聞こえてくる。もう、何も言うことはない時間だ。
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by goldenmaple | 2007-09-27 21:18 | 山形便り


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